角膜・結膜疾患|アカントアメーバ角膜感

レンズケースにご用心!

2017.10.28

普段使用しているコンタクトレンズのケース。
見た目が綺麗だからと言って、長く使いすぎていませんか?

20年ほど前までソフトコンタクトレンズは使い捨てではなく、約2年間の寿命まで煮沸殺菌する消毒方法で手入れをしながら繰り返し使用するものが主流でした。
当時の煮沸は、こすり洗いによってレンズ表面の汚れを落とした後、ケースに保存液と酵素洗浄剤を入れ、熱を加えることによって高温で殺菌消毒するものでした。
煮沸方法の消毒効果は抜群でしたが、ケアが面倒なことと、熱を加える事によるレンズの変形やタンパク質などの固着が起こりやすい事が欠点でした。
キャップにはパッキンが付いており、今より耐熱性もしっかりしたケースでした。

現在では、2週間交換などの頻回交換レンズが主流で、熱を加えないコールド消毒が主流になり、煮沸消毒用品を見かける事はほとんどありません。

コールド消毒には、すすぎから洗浄まで全て1本で出来るMPSタイプ(マルチパーパスソリューション)、過酸化水素やヨードなどの薬品の消毒効果を利用したものなど、複数の種類が販売されています。
洗浄液の種類によっては目に入ると危険なものがあり、それぞれ使用方法が異なりますので注意が必要です。

・ケースを清潔に保つにはどうすれば良いのでしょうか・・・?
ずばり、「レンズケースを頻繁に交換する」です。
ケースには必ずパッキンやネジのように汚れが付きやすい部分があります。この部分は雑菌にとって絶好の繁殖場所になります。このような部分からレンズが汚染されてしまいます。

レンズケース 汚れやすい部分

ケースには消毒液を入れていますが、残念ながら、すべての菌に対して有効であるとは限りません。
MPSのように「1本ですべてOK」のタイプは目に入っても大丈夫であるように消毒効果はかなり弱いです。
ケースが汚れていると消毒と思って保存していたのに、実は汚染させていたということになりかねません。

ソフトコンタクトレンズは水分を含んでいるので、一度汚染されると雑菌がどんどん増殖する温床になります。

汚染されたレンズを繰り返し使用している間にも雑菌は増殖していますので、眼病のリスクが一気に高くなります。感染症は重症化すると治癒後の視力に大きく影響したり、失明につながる事があります。

残念ながら雑菌は肉眼では見えませんので、見た目が綺麗だと思っていても油断は出来ません。目に見える汚れやヌメリなどは論外です。バイオフィルムが形成されると完全に取り除くことは難しいです。

ソフトコンタクトレンズの洗浄液には新しいケースが同梱されているものが多いので、新しいボトルを出した時にこまめに取り換えましょう。
ハードコンタクトレンズは水分を含んでおらず、汚れを流水で洗い流す事が出来るため、ソフトコンタクトレンズに比べるとリスクは少ないですが、ケースは3か月に一度くらいのペースで交換するのが望ましいでしょう。

正しい使用方法でコンタクトレンズだけでなく、ケースやケア用品など常に清潔に使用しましょう。