水とコンタクトレンズ
猛烈に暑い夏は海や川、プールなどに入る人が多いと思います。
水に入る時、コンタクトレンズを使用している人はどうしているのでしょうか?
原則的に泳ぐ(水に入る)時にコンタクトレンズを使用する事は良くありません。
コンタクトレンズの紛失と変形の可能性があるためです。
まず、紛失で言うと、水中で目を開けたり、目に水がかかるとコンタクトレンズが流されてしまう事があり、特にハードコンタクトレンズは無くなるリスクがかなり高いです。ゴーグルや水中眼鏡を使用していても100%安全とはいえません。
変形についてはソフトコンタクトレンズがあてはまります。
ソフトコンタクトレンズは水分を含んでおり、海水やプールの水などでは浸透圧の関係でレンズが変形する事があります。また、ソフトコンタクトレンズでも波などを受けると目から外れる事があります。
しかし、よく見えない状態で広くて人が多い空間にいると不安になりますよね。
どうしても使用したい場合は、ワンデータイプの使い捨てレンズだとリスクは少なくなります。ただし、水には様々な微生物が含まれています。同じレンズを1日中使うのではなく、予備を持って行き、水から上がったら目を洗って少し目を休めて新しいレンズと交換するなどの対策が必要でしょう。
繰り返し使用するようなソフトコンタクトレンズ(カラコンなど)で水に入る事は眼病のリスクを高める可能性がありますので使用しない方が良いでしょう。
ちなみに、暑い日の車内は猛烈な暑さになります。
特に酷暑と呼ばれている現在では、眼鏡や予備コンタクトレンズを車内に放置すると
熱で使えなくなってお金の無駄になる可能性があります。
健康な目で楽しく夏を過ごしましょう。
黄斑変性症チャート
黄斑変性症は網膜の中心にある黄斑部に障害を生じるため、視界の中心の見え方に影響します。
病巣の位置や出血の有無によって見えにくくなる範囲は変化するのですが、初期の状態は気が付きにくいため、症状のタイプによっては急速に視力が低下することがあります。
40歳を過ぎたら定期的に検診を受けることをお勧めします。特に、・ご家族に緑内障の人がいる・喫煙している・高血圧・不規則な生活の方は要注意です。
下のチャート表で自己チェックが出来ます。
ぶどう膜炎
眼球内部の「脈絡膜」(網膜の外側にあり、たくさんの血管が通っていて、に酸素と栄養を供給します)、「虹彩」(瞳孔の大きさを変えて目に入る光の量を調整します)、「毛様体」(水晶体の厚みを調整してピントを合わせます)この3つの器官を総称して「ぶどう膜」と呼びます。
そして、ぶどう膜で炎症が起こることを「ぶどう膜炎」と呼びます。
「サルコイドーシス」、「原田病」、「ベーチェット病」がぶどう膜炎の最も多い原因となりますが、炎症は血液中の白血球がウィルスや細菌等を排除し組織を修復する働きに大きく関係しており、もともと血管が多いぶどう膜は炎症を起こしやすい器官なのです。ですから、ぶどう膜炎を起こした原因が体の他の部位に起こった異常(膠原病・悪性腫瘍・関節炎・糖尿病・腸疾患など)に関係している事も多く、正確な原因が分からない事もあります。
ぶどう膜炎により起こる症状として視力低下があります。ぶどう膜炎により発生した炎症性細胞が眼球内部の透明な房水や硝子体に広がると濁りが発生します。この濁りによって霧がかかったように見えたり、光が乱反射してまぶしく見えたりすることで視力が低下します。また、脈絡膜に接している網膜にまで炎症が及びやすく、網膜剥離など失明につながる深刻なダメージを受ける可能性があります。また視界に黒い物体が見えるようになる飛蚊症や、結膜の充血、痛みが出ることがあります。
ぶどう膜炎は、症状が治まったようにみえても再発の恐れがあるので自己判断で中止しないようにしましょう。
薬についても深刻な副作用があるものもあります。むやみに使用し続けるとリスクが伴います。
また、緑内障や網膜症などの合併症が進行している可能性もあります。自覚症状が出にくく、視野障害に気が付いた時には手遅れで取り戻せません。
ぶどう膜炎は失明の危険がある病気です。
きちんと医師の指示に従って根気よく治療する事が大切です。
コンタクトレンズがすぐに汚れる
コンタクトレンズのくもりに悩まされている方が増えています。

脂質の汚れで真っ白になったレンズ
これはソフトコンタクト・ハードコンタクトの種類には関係ないのですが、訴えてこられるのは女性が多いです。
くもりの原因で多いのは、化粧品やハンドクリーム、クレンジングオイルなどの油分の汚れです。ですから圧倒的多数で女性がお悩みになっています。
最近のハンドクリームや化粧品はウォータープルーフになっているため、手を洗っても指先に油分が残っている事が多く、その手で触ることでレンズが汚れます。
他にも、まつ毛の生え際ギリギリまでメイクをすることによって、まばたきのたびにレンズを汚す事になっている場合があります。
まつげの生え際には「マイボーム腺」という器官があり、涙に含まれている油分をコントロールしているのですが、このマイボーム腺が汚れて詰まってしまうと涙液中の油分バランスが狂って、涙が蒸発しやすくなってしまいます。眼が乾燥するとレンズに汚れが付きやすくなって曇り、汚れが眼病を引き起こすという悪循環が始まります。
レンズに付いた油分は、きれいに取っておかないとレンズ全体が水分をはじくようになり、すぐに汚れてしまいます。最近の洗浄液は「洗浄液に浸けるだけ」「こすり洗い不要」といった「簡単」をアピールしている物が増えていますが、これでは洗浄効果は不十分です。
浸け置きタイプの洗浄液は雑菌の消毒に対して強いものが多いですが、こびり付いた汚れを落とすような物理的な洗浄効果はほとんど期待できませんし、簡単な手入れだけでは、まず、それ以上綺麗になる事はありません。「消毒」と「洗浄」は異なるという事を知っておきましょう。
しっかり汚れを落とすために、こすり洗いをする必要があります。ただし、破損する原因になるので、こすり洗いの時は力の入れすぎや爪に注意しましょう。洗うときは指の腹部分で優しく、回数は20回以上裏表を洗うと良いでしょう。そしてしっかりすすぎます。
レンズ表面が濡れている時は汚れていないように見える事がありますが、乾かすと汚れが分かりやすくなります。
このような汚れを放っておくと、汚れが汚れを呼び、ハードコンタクトレンズでは「酸素が通る無数の穴」に入り込み取れなくなってしまいます。ソフトレンズでは使用期限より早く使えなくなる事があります。
毎日のお手入れでしっかりケアしておくことが大切です。
汚れの種類によって洗浄液を変えることも効果的です。
ソフトコンタクトレンズの場合、別途こすり洗い専用の薬剤とすすぎ液が必要になることがありますので説明書をお読みください。
ほんの数分ですから面倒と思わずに眼の健康のために取り組んでみてはいかがでしょう。
「眼が腫れ上がりコンタクトをしばらく着けられない」「眼が真っ赤に充血して目やにや涙が出る」といった、コンタクトレンズトラブルによる苦しさを考えれば簡単かと。
眼のトラブルは外見に大きく影響しますし、最悪、失明という可能性がありますから。
コンタクトレンズトラブルはこちらから
(症状の画像があります。苦手な人はご遠慮下さい。)
白内障
眼の中には「水晶体」というカメラで言うところのレンズの役割を果たす器官があります。
水晶体は、ほぼ無色透明で「皮質」「核」という組織が「嚢(のう)」という薄い膜に包まれています。
この水晶体が何らかの原因で濁る事を白内障と言います。
白内障になると以下のような症状が出ます。
・視力低下
・かすんで見える
・眩しく見える
・二重、三重にだぶって見える。
白内障は「加齢性白内障」、風疹などの「先天性白内障」、アトピー性皮膚炎など「全身疾患に合併する白内障」、目のケガによる「外傷性白内障」、ぶどう膜炎などの眼病での「併発白内障」、その他に「放射線や薬剤(ステロイド剤)による白内障」があります。
白内障は水晶体に含まれているタンパク質が上記のような酸化ストレスを受けて変質することです。
この酸化ストレスの多くは加齢によるものですが、ケガや病気、紫外線などの影響も酸化ストレスなのです。
分かりやすい例で言うと、「生卵(タンパク質)に熱(酸化ストレス)を加えると硬く白いゆで卵に変質する」というものです。
水晶体の濁り方は、「皮質性白内障」、「核性白内障」、「後嚢下白内障」の3種類あります。
「皮質性白内障」は周辺部から中心に向かって濁り始めます。この場合、中心部の核の透明度を維持できれば視力は保たれることが多いです。濁りが中心部まで進行してくると、眩しい・かすんで見える、といった自覚症状が出てきます。
「核性白内障」は水晶体中心部の核から濁りが始まります。そうすると水晶体が膨らみ厚くなるため近視化がどんどん進みます。一時的に近くが見やすくなることがありますが急激に視力は低下します。その後、眼がかすむようになり全体的に遠くも近くも見えにくくなります。中心部が濁っているため眼鏡やコンタクトレンズでは安定した視力は得られません。ごく初期の段階では分かりにくいことがあります。
「後嚢下(こうのうか)白内障」は水晶体の後ろにある後嚢の皮質が濁ってくるため、かすんで見える感じが他の白内障よりも強く進行が速い。白内障が急に進行して緑内障の発作などの併発症を起こすことがあります。
治療方法は、目薬で白濁の進行を抑えるか、手術によって水晶体を取り除く事です。
一度白くなると目薬では元に戻す事が出来ませんので、手術によって水晶体を取り除くしかありません。
水晶体を取り除くと、ピントを合わせる調節機能が無くなるので、水晶体の代わりになる人工レンズを挿入します。
この人口レンズによって手術後の見え方(遠くを優先するのか、近くを優先するのか、それとも中間か)を調整出来るので、昔のように分厚い眼鏡を掛ける必要がなくなることもあります。
手術のタイミングは「日常生活に不自由を感じるかどうか」、「必要としている視力はどれくらいか」など、人それぞれですので医師と相談して決めるのが良いでしょう。
中心性漿液性脈絡網膜症
「中心性漿液性脈絡網膜症(チュウシンセイショウエキセイミャクラクモウマクショウ)」
私たちが「見る」上で重要な役割を持つ網膜ですが、その中でも特に視力に影響する場所が、網膜の中心で見るために必要な視細胞が集中している「黄斑部」です。
この黄斑部にむくみが出来ることによって、部分的に網膜剥離が起こったような状態になります。そうすると視力低下や視界の真ん中が黒っぽく見える、物が歪んで見えるといった症状が出ます。
3D-OCT画像 正面から見る事の出来ない網膜の状態・断面を立体的に把握することができます。
正常な黄斑部は中心がくぼんでいます。↓
黄斑部がむくんで浮き上がった状態↓
通常は片目で発病することが多く、両方同時に発病することはほとんどありませんが、時期がずれてもう片方の眼を発病することや、同じ目で再発することがありますので、注意しておかなければなりません。
原因としてストレスが関係していることが多く、過労や睡眠不足などにより心身ともにストレスが溜まった時に発病しやすい傾向があるようです。この病気は30歳~40歳位の働き盛りの男性に起こりやすい傾向があり、女性が発病する数は男性の1/3程です。
この病気は安静にしておけば数ヶ月で自然に治る病気です。しかし、治療を長引かせたり、再発が続くと視細胞の機能が低下してしまい、視力が元通りにならないことがありますので医師の指示に従って治療を続けましょう。現時点では昨日が低下した視細胞を元に戻すことはできません。
飲みの席で心のストレスを発散しても、ついつい遅くまで飲み過ぎて体が疲れていては意味がありません。働き盛りに無理をして体を壊してしまって、今、あるいは年齢を重ねた時に「見たいものが見えない」など生活に大きく影響する事もあるでしょう。
適度な運動や趣味を取り入れたりして、どちらのストレスもバランスよく解消する方法を見つけてみてはいかがでしょうか?
涙のはたらき
いつも目を潤している涙。
感動したり、悲しい時などにも出る涙。
この涙の働きをご存知ですか?
過酷な環境にある目を守ってくれているんです。
涙には次のような働きがあります。
・バイ菌などの侵入や感染を防ぐ。
・ゴミや埃を洗い流す。
・角膜に酸素や栄養を届ける。
・目が鮮明な像を結べるように角膜表面を滑らかに保つ。
多くの働きを持つ涙が無くなると眼はとても大変になります。
~ 皆さんがいつも無意識にしている「まばたき」 ~
1時間に約1,500回もまぶたは活躍しています。このまばたきによって、涙は目の表面に行き渡り、潤いを与えて角膜を保護しているのです。
しかし、目を開け続けたり、涙が減ったりすると、目の表面に「ドライスポット」という乾燥した部分が現れます。
ドライスポットが残ると、痛みに敏感で傷付きやすい角膜が剥き出しになり、角膜上皮障害が起こります。他にも物がかすんで見える・ゴロゴロとした異物感・目が疲れやすいといった症状があります。
ドライスポットのある目は、涙の膜が均等ではなくデコボコになっています。
水面がピンと張って水の中が見える状態が正常な目の表面とすれば、波紋が立って光が乱反射し水中が見えない状態が「乾燥してデコボコした表面」というように、乾燥は視力に大きく影響することがあります。この状態に眼鏡で矯正しても不安定な視力になることが多いです。
~ ドライアイになる原因はどこにあるのでしょうか? ~
・PCやスマートフォンなど電子機器の長時間使用は、まばたきの回数が減り乾きます。
・エアコンなどの空調により涙が蒸発しやすくなります。
・睡眠不足やストレスは、涙の量や質を低下させることがあります。
これらの条件に加えてコンタクトレンズの使用があると、乾燥感や刺激など症状が更に強く出ることがあります。
低酸素透過性のソフトコンタクトレンズ装着時に乾燥すると、角膜がコンタクトレンズによってピッタリとフタをされた状態になります。こうなると、角膜には涙がどこからも入れなくなり、酸欠を起こしてダメージを受けます。この状態が長く続くと角膜に酸素を補おうとして血管が角膜の中にまで入ってきます。これを「血管侵入」といい、進行すると角膜が白濁し、最悪の場合、失明につながる事もあります。また、角膜浮腫や剥離など強い痛みを伴った眼障害を起こしてしまう事があります。特にカラーコンタクトレンズ使用者に多いです。
乾燥で注意しなければいけないのは、いくら目薬を使用しても潤うのは一瞬ということ。1度にたくさんの目薬を使っても目からあふれるだけです。コンタクトレンズの表面が濡れてもすぐに乾いてしまい角膜までは届きません。角膜が潤わなければ、ほとんど意味がないのです。
眼が乾く、ゴロゴロといった何らかの異常が出た場合、原因を根本から知ることが大切です。
ドライアイに詳しい眼科専門医の診察を受けて適切な治療を受けましょう。
遠近両用コンタクトレンズ②
前回の続き
遠近両用コンタクトレンズ(ソフト)は、眼鏡のようにクッキリハッキリとした見え方とは異なります。
例えば、使い捨てソフトコンタクトレンズの場合、直径14.5mmのレンズ内に複数の度数が入るように設計されており、装着時には遠くにピントが合う所と近くにピントが合う所が同時に見えているのです。
脳はその中でクリアに見えている像だけを認識し、ぼやけた像は抑制しようとします。個人差はありますが、使用するには多少の慣れが必要になります。(全く気にならない方もいらっしゃいます。)また、乱視が強い人には対応できないことがあります。
現在、遠近両用コンタクトレンズは色々なメーカーが生産しており、1日使い捨てタイプ、2週間交換タイプなど、種類が豊富で使いやすいため人気が出てきています。
ハードコンタクトレンズタイプになると、ソフトコンタクトレンズよりもレンズ素材が硬いため、矯正力が強く、クッキリとした見え方をします。これまでにハードコンタクトレンズを使用していた人にお勧めです。
ハード素材が初めての人でもレンズのデザインや素材・性能が改良されているので、付け心地があまり気にならない人もいらっしゃいます。
眼鏡は集中して近くの作業をするには最適です。
コンタクトレンズでのピントを遠くに合わせておき、コンタクト装着中に近くを見る時は、近くにピントを合わせた眼鏡を掛ける。遠くも近くもハッキリ見たい人はこれがおすすめです。
眼鏡を掛けたり外したりする事が面倒な人には、遠く部分が素通しの遠近両用眼鏡を掛けるという使い方も可能です。
大事なことは無理をしないという事です。
その時その時の自分に合わせた対策をすることが、見えない事に対するイライラなどのストレスを減らし、快適に過ごす事が出来るのではないでしょうか。きっと表情も変わってくるはずです。
遠近両用コンタクトレンズ
眼前30㎝の物を見ることが出来ますか?
40歳を過ぎると、手元が見えにくくなったと感じ始める人が増えてきます。
スマートフォンが爆発的に普及し、仕事で長時間パソコンを使用する機会が当然となり、症状を訴える人は一層増加しています。
そもそも何故手元が見えにくくなるのか。
つい先日まで何も感じなかったのに・・・。
近くが見えにくくなる時期は40歳位から全ての人に訪れる現象です。「眼鏡を掛けたから度がすすんだ」というわけではありません。そして65歳位まで進行します。進行速度には個人差がありますが、進行する強さには大差はありません。早いかゆっくりかの違いです。
~ 40歳を過ぎたら緑内障検診を受けておきましょう。眼の病気 ~
一般的には普段から眼が良い人や、コンタクトレンズ、あるいは眼鏡で遠くが良く見えるように合わせている人(遠視よりになっている)は早い段階でピントの合いにくさを感じる傾向があります。
眼の中には水晶体というレンズがあり、毛様体とつながっています。この毛様体が水晶体の厚みを調節して見たい物にピントを合わせています。
近くにピントを合わせる時はレンズを厚くしなければなりませんが、厚くしている間は常に筋肉を使用しています。年齢を重ねていくと、この水晶体というレンズが硬くなり、毛様体筋が衰えてきます。すると、今まで大きく動かせていた水晶体の形が少ししか動かせなくなり、ピントを調節するということが徐々に出来なくなってくるのです。
そうなってくると、今まで自分の眼で調節していた「ピント合わせ」に眼鏡などの道具を使用する必要が出てきます。いわゆる「老眼鏡」ですね。

老眼鏡の検査は眼科で出来ます。
ただし、
仕事などの関係で眼鏡の使用が制限される人や、老眼鏡を掛けた姿を見られたくないという人も多いようです。
体の衰えを認めるような気がして我慢するみたいですが、ほとんどの人は抵抗しても無駄ですので潔く使用した方がメリットは大きいと思います。
我慢することによるデメリット
・疲れる。
・読み書きをしなくなる。
・肩こりや腰痛など眼以外の所に症状が出る。
・作業がはかどらない。
・集中力が無くなる。
・趣味から遠ざかる。など。
このような症状が出る前に遠近両用コンタクトレンズを試してみるのも一つの方法ですね。これなら外見は変わりませんし、眼鏡のように視界が曇ることもありません。
つづきます。
網膜や視神経の病気
眼の病気でよく耳にすることがあるのは「緑内障」でしょうか。
緑内障は視神経に障害が起こることによって視野が狭くなることをいいます。視神経に負担がかかり障害が起こりやすくなるため眼圧が高いことが原因の一つとされていますが、最近では眼圧値が正常範囲内の人でも視神経が障害を受ける「正常眼圧緑内障」が注目されています。
緑内障は症状に気が付きにくく、気が付くころには症状がかなり進行している事が多い病気です。
多くの人は両目で見ています。この普段見えている映像は右眼と左眼でそれぞれ見えている映像を脳で補正して一つの映像にしています。つまり、両目で見ている時には片目の見え方に異常(歪み・欠けなど)があっても補正されて気が付きにくいのです。現時点では一度失ってしまった視野を取り戻す事は出来ませんので、いかに早く発見し進行を抑えるかが現在の治療法です。
近年、緑内障の人が増えてきているのは病気を早期発見できるようになった事も関係があるでしょう。技術の進歩によって大掛かりな機械を使用しなくても、鮮明な画像で正確な診断ができるようになってきています。そのうえ短時間で済むため患者様にかかる負担が少なくなっています。

眼底画像
「網膜」は目の奥に広がる薄い膜で、物を見る上で非常に重要な役割を持っています。網膜には光の強さや色・形を識別する視覚細胞が存在しており、視神経を通して脳に映像を送ります。その働きからカメラのフィルムに例えられます。フィルムが傷ついたり歪んでいると、映し出される映像にも影響がでますが、これと同じことが目にも起こります。
「網膜剥離」
何らかの原因で網膜に裂孔ができ、そこから網膜が剥がれて視野が欠けてしまうことです。最悪の場合、失明につながります。ボクシング選手が網膜剥離になったという話は聞いたことがあるかもしれません。目に強い衝撃を受けた影響で網膜に亀裂が入り、眼球内の液体が漏れ網膜が剥がれるのです。
初期症状には蚊が飛んでいるような黒い点状のものが見える(糸状やゼリー状のものが見える事もあります)飛蚊症や、カメラのフラッシュのようにチカッチカッとした光が見える光視症があります。網膜剥離は小さな傷から徐々に剥離が進行することが多く、初期症状に注意しておくことによって早期発見につながり、症状が軽いほど治療が簡単になります。
しかし、突然起こることもあります。加齢・強度の近視・糖尿病・アトピー性皮膚炎などの要因もありますので、あてはまる方は定期的に検診を受けられることをお勧めいたします。
「糖尿病性網膜症」
糖尿病の3大合併症と言われ、日本での中途失明原因の1位となっているのが糖尿病性網膜症であり、年間約3,000人の人が失明しています。
網膜には栄養を補給するための血管が網の目のように走っていますが、高血糖状態が続くと血管がもろくなったり詰まったりして出血します。このような状態は視力低下や視界がかすむ原因となります。そして血管が詰まって栄養分が行き渡らなくなると、栄養不足を補うために新しい血管が生まれます。こうして生まれた血管は非常に弱く、ちょっとしたことで出血しやすくなっているため、症状が進行していくと網膜剥離や緑内障を併発し、失明に至ることがあります。
「加齢黄斑変性症」
網膜の中心に位置し、視覚細胞がもっとも多く集中している黄斑部に加齢に伴う出血などが起こり徐々に見えにくくなる病気です。
60歳以上の男性に多く見られますが、特に喫煙者に多く見られるという報告があります。
網膜の中心がダメージを受けるため、視界の中心(見ようとする所)が見えにくくなります。最初は物が歪んだり暗く見えたり、急に視力が低下することがあります。同時に網膜剥離や出血が発症すると広範囲で見えにくくなります。病気の進行具合や重症度によって治療法はことなりますが、現在では早期発見・早期治療で視機能を維持することが可能になってきています。50歳以上になれば、一度眼底検査を受けられることをお勧めします。
「網膜静脈閉塞症」
網膜にある血管が詰まり、網膜がむくんだり出血を起こすことによって視力が低下することです。
男性で40歳以上、女性で50歳以上、加齢とともに発症しやすくなります。血圧が高い人や慢性腎臓病の人に起こるリスクが高いと言われています。
急な視力低下、かすみ、視野の欠損、出血したところが黒っぽく見えるなどの症状が出ます。
網膜静脈閉塞症には「網膜中心静脈閉塞症」と「網膜静脈分枝閉塞症」とがあり、中心静脈の場合は静脈の根元が閉塞するため、網膜全体に血液や水分が漏れ眼底出血や黄斑浮腫がおこり、急激な視力の低下が起こります。
静脈分枝の場合、閉塞した静脈の上流で出血や網膜浮腫がおこります。自覚症状の無い場合から重度の視力障害まで、閉塞した場所によってさまざまです。
「黄斑上膜(おうはんじょうまく)」
黄斑前膜(おうはんぜんまく)とも呼ばれ、網膜の中心部である黄斑部の表面に薄い膜が形成される病気です。
加齢により特別な原因もなく生じる場合の「特発性」、ぶどう膜炎や網膜剥離、糖尿病性網膜症などにともなう場合の「続発性」があります。
特発性の多くは、加齢にともなって変化して剥がれた硝子体皮質が黄斑部表面に残り、この皮質が厚くなり収縮することによって網膜にしわが出来ます。収縮の程度によって物が歪んで見えたり、視力低下が起こります。黄斑上膜は目の一番奥で起こっている症状なので、薬での治療では治りません。手術で黄斑に残った膜を取り除く方法が一般的です。
3D-OCT(三次元眼底像撮影装置)は網膜断面の撮影が可能で、黄斑上膜の下にある網膜の状態を確認するために非常に有効な検査方法です。
3D-OCTをはじめ、精密視野検査、散瞳検査などで、早期発見が重要なポイントとなります。
普段の見え方に違和感を感じたら早めの受診が安心です。